【宣伝】11/25 文学フリマ東京 サークル紐育春秋のサブカル批評誌『硝煙画報』に寄稿しました

久々の更新が宣伝ですみません。 11月25日の文学フリマ東京で出展されるサークル『紐育春秋』様にお声をかけて頂き、インディペンデントカルチャーマガジン誌『硝煙画報』に当ブログの『百合とSF』記事を載せて頂くこととなりました。 内容については、ブロ…

自動人形の城

久々の更新、久々の小説レビュー。 不定期とはいえ長いことサボっててすみません。 自動人形の城(オートマトンの城): 人工知能の意図理解をめぐる物語 作者: 川添愛 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 2017/12/18 メディア: 単行本 この商品を含むブ…

『さよならの朝に約束の花をかざろう』 解釈と感想

先日公開された長編アニメ映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』を観てきた。私は、あまりアニメや映画を観て泣きたいと思うタイプの人間ではないので、同じスタッフが制作した「泣ける」と評判の『あの花』も『心が叫びたがってるんだ』も観ていないの…

温室栽培のラブコメ 『からかい上手の高木さん』

巷で話題の『からかい上手の高木さん』というアニメを観たのだが、これが色んな意味でオッサンにはキツイ。 微笑ましい、というのを通り越して観ていてこっ恥ずかしいのだが、この手の青春ラブコメは異性と全く関わりのなかった灰色の青春時代を過ごしてきた…

百合とSF

エリザベス・ベアの『スチーム・ガール』を読んだのだけど、今回はそのレビューではない。この小説、ライトなスチームパンクかつ、軽快な冒険活劇であるので、このジャンルの初心者にも薦めたいのだが、人によっては障壁になりうる要素が一つ、この物語が女…

【映画感想】とにかく『ブレードランナー2049』が最高だった。

今年一番の楽しみであった『ブレードランナー2049』を観たのだけど、これが期待以上の出来で驚いた。 ヴィルヌーヴ監督に対しては『メッセージ』の出来の良さから「この人が作るのなら」と、ある程度の期待と信頼をしていたのだが、それでも正直、カルト的な…

『メアリと魔女の花』感想

ポスト・ジブリとして期待されている(?)スタジオ・ポノックの初長編映画『メアリと魔女の花』を観てきた。 感想を述べる前に言っておきたいことが三つ、一つは私がこの映画の原作を未読だということ。もう一つは私がそれなりのスタジオジブリファンだとい…

アンドロイドの時間 『ヨコハマ買い出し紀行』

たまには漫画のレビューでも。 ヨコハマ買い出し紀行 1 新装版 (アフタヌーンKC) 作者: 芦奈野ひとし 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2009/10/23 メディア: コミック 購入: 10人 クリック: 78回 この商品を含むブログ (40件) を見る 月刊アフタヌーンにて9…

男性トイレに関する覚書

男子トイレ占い、というものをご存知だろうか。もちろん聞いたこともないだろう。私がつい今しがた考えたからだ。トイレの話題だけに既にクソ記事の気配を察したあなた、あなたが女性なら、まぁ縁のない話なのでブラウザバックして頂いて構わないのだが、男…

映画『メッセージ』感想

映画を聴く、というのは初めての体験であった。 この『メッセージ』という作品が「音」を重視した映画になるであろうことを、私は(というか原作であるテッド・チャンの短編小説『あなたの人生の物語』を読んだことがある人なら)観る前からある程度予想して…

劇場版『夜は短し歩けよ乙女』 感想

先日公開された森見登美彦原作『夜は短し歩けよ乙女』の劇場版を観てきた。 私は森見登美彦の特別熱心なファンというわけではないのだが、彼の作品は半数以上は読んでいるし、私自身が京都で学生時代を過ごしたことなどもあって、好きな作家の一人ではある。…

少女庭国

空恐ろしい小説を読んでしまったので、久しぶりのブログ更新。 〔少女庭国〕 (ハヤカワSFシリーズJコレクション) 作者: 矢部嵩 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/03/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (17件) を見る 『少女庭国』と題された…

野良に餌を与えるということ

一月ほど前から、私の住むアパートに猫の母子が住み着いている。もともとこのアパートには野良猫が入れ代わり立ち代わり暮らしていたのだが、そのほとんどが独り身であり、親子というのは少し稀であった。 猫好きの人が聞けば喜ぶ環境かもしれないが、どちら…

「本当の自分」という幻想

今更ながら平野啓一郎の『私とは何か』を読んだ。今更ながら、というのは、この本は2012年9月に出版されていて、当初から個人的に非常に興味のあるテーマについて書かれていることを知っていたのだが、長らく読めずじまいだったのだ。 主な理由は「すっかり…

失われたリアリティと作家の功罪

小林泰三の『失われた過去と未来の犯罪』を読んだ。 タイトルからタイムトラベルものかなと期待して粗筋を読んだのだけど、どうも人間の記憶に関する話らしい。特に凝っているわけでもないのだが、最近は人間の精神や人格に関する本をたまたま続けて読んでい…

劇場版『ハーモニー〈harmony/〉』 感想

先日、劇場公開された伊藤計劃原作の『ハーモニー <harmony/>』を早速観てきた。 私はこの原作の小説がかなり好みで、どのくらい好きかというと、単行本、文庫本、Kindle版と無駄に三度購入したほどだ。伊藤計劃はどちらかというと『虐殺器官』のほうが巷で評価が高い</harmony/>…

ぼぎわんが、来る

ぼぎわんが、来る (角川書店単行本) 作者: 澤村伊智 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2015/10/30 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る またホラーか、と思われそうだが、つい先日ハロウィンだったということで(?)ご容赦願いたい…

火事の話

先日、とある配信者が生放送中に火事を起こして話題になっていた。同じ喫煙者で、オイルライターを愛用する身としては、滑稽だけど笑えない動画だった。 配信者が配信中にオイルマッチで火事になる大事態に 2015年10月4日 ... 火災が発生する過程と、現場の…

陰口は絶対悪か?

例えば、の作り話。 A、B、C、Dという男4人グループがいる。彼らは学生時代から仲が良く、大学を卒業して各々環境が変わった後も付き合いがあり、時折休みが合えば皆でどこかへ出かけたり、休みを合わせて行事を催したりしていた。 それらの多くを企画してい…

盤上の夜

私は麻雀以外にも将棋やオセロといったボードゲームも時折ネットでプレイするのだが、これがまぁ中々勝てせてもらえない。ボードゲームというのはTVゲームと違って、いくら自分の頭を捻って考え練習したところで、そうメキメキ強くなれるものではない。まず…

淵の王

久々にブログ更新。はてなブログの今週のお題「ゾクッとする話」だそうなので、最近出たゾクッとする小説『淵の王』(著:舞城王太郎)の感想を。 淵の王 作者: 舞城王太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/05/29 メディア: 単行本 この商品を含むブロ…

結局人はいつ年をとるのか

何の自慢にもならないのだが、私は他人の誕生日を憶えることが得意である。 先日も知人の誕生日当日に予告なくプレゼントを渡したところ「よく覚えてましたね」と驚かれたのだが、続けて彼は妙なことを口走った。 「年をとったのは昨日なんですけどね」 どう…

マルチ商法の話

最近連絡すらとっていなかった知人の女性に突然呼び出されて、ホイホイついていったらマルチ商法のセミナーに付き合わされたということがあった。まぁそれについては散々Twitterでネタにしたからもういいのだけど、それにしても何故こうも胡散臭い儲け話に騙…

青春崇拝

ここのところずっと金欠で、忙しくなって、でもやっぱり金欠で、すっかりブログを放置して三ヶ月。 というのは言い訳で、単に一ヶ月ほど書くことが思い浮かばなくて、それ以降はすっかり忘れていた。金欠なのは本当。更新ない間も意外とアクセスがあったのは…

カップ焼きそばランキング

何の前触れもなく、完全に思いつきで、カップ焼きそばマイスターの僕がカップ焼きそばをランク付けしようと思う。塩味や変わりダネは除外している。あと画像サイズは公式から拾ってきてるだけなのでバラバラ。ではさっそく10位から。 第10位:欽ちゃん焼…

匿名、仮名、実名

インターネットが世間に普及して15年ほどになる(のかな?)。ネット環境の進歩はその利便性と引き換えに様々な問題を引き起こしてきた。中でもよく取り沙汰されるのが「匿名や仮名での無責任な書き込み」である。自分は中学生の頃から2ちゃんねるに常駐…

悪意と狂気 ――米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』

誰が言っていたか忘れたのだが、人間の狂気を描けるのは正気で計算高い人間だそうだ。誰が言ったか分からない言葉に同意しても仕方ないのだけれど、その通りだと思う。口の端から泡を吹きながら支離滅裂な言葉を口走り、自身の損傷さえも顧みずに不可解な動…

責任は誰にある?

韓国の客船、セウォル号沈没事故について報道が連日なされている。事故の悲惨さもさることながら、関係者がその責任を押し付けあっていることや報道を見た人間が好き勝手言ってることに辟易している自分がいる。事故そのものの原因と責任をごっちゃにし、そ…

縦横に割ってみる

物語を面白くする一要素として「伏線」とその回収というのが挙げられる。作中である事象(例えば人物の会話等)から後の展開に繋がる事柄をさりげなく匂わせておくと、その「後の場面」が描かれた際、受け手に話の繋がりを上手く感じさせることができる。こ…

前回エントリについてのお詫び

前回、叙述トリックについてのエントリで最後にオススメの叙述トリック作品をいくつか挙げました。しかし、叙述モノはその性質上「叙述トリックが使用されていること」を知った上で読んでしまうとその魅力が半減してしまうため、白文字で表記してそのことを…